経済学エアプ大全 ~経営・会計学編~
※この記事は「GUTアドベントカレンダー2020」の12/1分の記事です。
1.前書き
「エアプ」とは、「エア・プレイヤー」「エア・プレイ」を省略したネットスラングのひとつです。主に各種ゲームの話題において、そのゲームのプレイヤーを中心に使われがちな表現で、「本当はこのゲームをプレイしていないのに、あたかもプレイしているような態度・またそのような態度でいる人間」を揶揄する言葉です。
「コトバの意味辞典」より
人類って,エアプ好きですよね?
私も皆さんと同じ人類であるので,このエアプ記事を書けて嬉しい限りです。
どうも私「かてごり」と申します。
さて,冒頭にも触れましたが,霊長類ヒト科はエアプを非常に好むことで知られています。
この記事を読んでいる皆様も,エアプをしたくてたまらないのではないでしょうか?
しかし,エアプの環境構築の難しさはTeXのそれに匹敵すると言われており,皆様も日々もどかしさを抱えていることでしょう。
(ちなみに,筆者はCloud LaTeXしか利用したことがないため,上の文章自体もエアプであることになります。)
でも,ご安心ください。既にエアプ環境が構築されている分野が存在します。
それが
経済学,及びその周辺分野(以下経済学等)です。
経済学等というのは
・「経済学部生なら財務諸表くらい読めるべき」
・「資本市場の仕組みを理解すれば資産を増やすことなど造作もない」
といったオモシロ言説が様々な媒体上で見られるくらい非常にエアプが盛んな学問として知られています。
特にここ最近は新型某某某某イ某某感某某の影響もあって,経済学等のエアプにうってつけの環境が構築されています。今一番アツいエアプは経済学等にあると言っても過言ではありません。
(「~とか経済エアプか?(以下自分の言説)」とか言ってる人間の意見もエアプやったりして滅茶苦茶面白い)
しかしながら,下手にエアプした結果,Twitter上で炎上するなんて嫌ですよね?
そこで今回は経済学等の権威を借りたエアプをするために,経済学及びその周辺分野の基本的な(経済学部生なら知っていそうな)用語・知見に解説と用例をつけて紹介していきたいと思います。
なお,この文章を著すに当たっては経済学部3年生の「ば」様のご協力を多分に仰がせていただきました。
なお,偶然その「ば」様がB4UTアドベントカレンダー2020の12/1分の記事として「経済学エアプ大全 ~経済学編~
basan1028.hatenablog.com
」を著されたそうなので,当記事と併せてお読みいただければ,経済学及びその周辺分野において,かなりのエアプ力が身につくと思われます。
2.経営学編
2-1. 経営戦略論
シナジー効果
▼定義
単一の企業が複数の事業活動を行うことによって,異なる企業が別個にそれらを行う場合よりも大きな成果を得られるという結合効果のこと。
▼使用例
「履修を組むに当たってシナジー効果を考慮しないなんて,大学エアプか?笑」
▼補足
味の素という企業は,調味料メーカーとして知られていることと思うが,実は味の素は調味料開発の過程で得た技術(アミノ酸技術)を医薬品開発にも利用している。この場合,味の素の内部で調味料開発と医薬品開発を行うことは効率の良い選択だと考えられる。このように,単一の企業内で保有する資源(味の素ならアミノ酸技術)を複数種の事業活動に利用することで生じる効果をシナジー効果という。
SWOT分析(スワット分析)
▼定義
企業の強み(Strengths),弱み(Weaknesses),環境の機会(Opportunities),脅威(Threats)の頭文字をとった分析であり,前記の四要素を分析した上で戦略策定を行う。
▼使用例
面接官「ではグループディスカッションを始めてください」
就活生A「とりあえずSWOT分析から始めましょうか」
こういう就活生が本当にいた(怖い話)
▼補足
メンタリストのDa*goさんにディスられていた分析。
コンサルタントも,このフレームワークをそのまま用いることは悪手だと感じているらしく,業界・企業ごとにアレンジして用いたりしているらしい。
現時点において,社会科学に自然科学並みの客観性・厳密性を求めること自体酷な話だと思うが,あくまでも「厳密かつ普遍的に用いられる」分析なのではなく「一定の妥当性を保った」分析である(と思う)。
ちなみにスワット分析というフレーズには「諏訪」が入っているので,実質東方である。
2-2. マーケティング論
STP
▼定義
マーケティング戦略を考える際の順序を大まかに表したもの。Sはセグメンテーション,Tはターゲティングであり,Pはポジショニングである。
顧客を年齢や居住地域別に分割(セグメンテーション)し,分割して出来たセグメントの中から,どの部分をターゲットとするのかを決め(ターゲティング),最後に,ターゲットに対してどのような製品をどのように売るのかを決める(ポジショニング)。
▼使用例
「年齢別のセグメンテーションは少し安直すぎませんか?」
これもディスカッションの現場で言ってる人がいた。怖いよお。
▼補足
消費者の何らかの共通点に着目して,市場を細分化することをセグメンテーションというが,このセグメンテーションの方法が多岐に渡る。例えば,➀地理的変数,➁人口動態的変数,➂心理的変数,➃行動的変数によって市場が細分化される。
このセグメンテーションは,Excelでも実は出来る。興味のある人は「クラスター分析 Excel(Python, R等)」と調べてみてほしい。
マーケティング・ミックス
▼定義
マーケティング戦略の目標を達成するために利用される統制可能な要素の組み合わせのこと。
▼使用例
「Appleのマーケティング・ミックス,完璧すぎ~😄」
▼補足
マーケティング・ミックスの構成要素としては4P(Price, Product, Place, Promotion)があり,マッカーシーの4Pと言われる。前記のSTPのTで狙うべき顧客層が決定したら,その顧客層の嗜好に適合する形で価格(Price),製品(Product),流通経路(Place),広告方法(Promotion)を決定する。
また,近年ではフィリップ・コトラーが4Pに物的証拠(Physical evidence), プロセス(Process), 人(People)を加えた7Pを提唱している。
2-3. 経営組織論
組織は戦略に従う
▼定義
企業がどのような戦略をとるのかによって,採用すべき組織形態が変わるということ。
▼使用例
- 「組織は戦略に従うので,組織については何も考えなくても良い。」
(違う)
- 「組織は戦略に従いすぎ~❕😄」
▼補足
A.D.チャンドラーの著書,『組織は戦略に従う』より,フレーズを引用してきました。
この『組織は戦略に従う』という言葉について話し始めると非常に長くなるが,ここでは具体例を用いてなるべく簡潔に理解してもらえるよう努める。
代表的な組織形態として,➀機能別組織と➁事業部制組織がある。
➀機能別組織とは
開発部門,生産部門,販売(営業)部門……といった機能別の部門を基礎とした組織である。
➁事業部制組織とは
テレビ事業部,洗濯機事業部……といった製品(または地域)ごとに事業部を設けることを基本とする組織形態である。
それぞれの事業部にはメリット・デメリットが存在するため,企業が採る戦略に応じて,その戦略と適合した組織形態を採用しなければならない。
このように,自社がとる戦略に応じて,採用すべき組織形態が変化することを端的に表した言葉が「組織は戦略に従う」というフレーズである。
取引コスト
▼定義
経済学とその関連した学問分野において、取引コスト(とりひきこすと、英: transaction cost)とは経済取引を行うときに発生するコストである。例えば、株の売買をする時に大抵の人はブローカーに仲介手数料を払わなければならない。この仲介手数料が株取引の取引コストである。
また店でバナナを買うとしよう。バナナを買うのに必要なコストは、バナナの価格だけではない。沢山あるバナナの種類の中から自分の好きなバナナを見つけ、何処で、いくらでバナナを買うべきかを調べる労力、そして自宅から店までの往復の交通費、支払いまでの列の待ち時間や、支払い自体にかかる労力など様々なコストが必要なのだ。バナナ自体の購入にかかった価格以外のコストが取引コストである。
「WiKipedia」より
▼使用例
「取引コストの抑制こそが企業の存在意義!(強い主張)」
▼補足
Wikipediaにすごくわかりやすい説明があったので,思わずコピペしてしまった……
使用例についての簡単な解説を,バナナの例を用いて以下に記述する。
バナナジュースを大量に販売したい個人商人がいたとする。ここで,その個人商人が「企業のない世界」においてバナナジュースを販売するとなると,上で引用したような様々なコスト(∔マージン)がかかる。そこで個人商人は人を集め,バナナの生産からバナナジュースの製造・販売まで行ったほうが長期的に見て収益性が高いことに気づくと,バナナの生産からバナナジュースの販売まで一貫して行う企業が誕生することになる。
こんな感じで,取引コストの概念を用いて企業の誕生をざっくりと,雑に説明できる。
外発的/内発的動機付け
▼定義
外発的動機付け : ➀行為が成果に繋がる確率の高さ,➁成果が外的報酬に結び付く確率の高さ,➂報酬の魅力によって,人がある行為に従事し続ける確率が高くなること
内発的動機付け : 自己を有能で自己決定的であると感じることにより,人がある行為に従事し続ける確率が高くなること
▼使用例
「『内発的動機付け』ってそれ……『やりがい』のことだよな?」
▼補足
内発的動機付けは俗にいう「やりがい」である。
外発的動機付けに関しては上の定義だけだと少しわかり辛いと思うので,追加で説明を加えておきたい。
例えば,ある学生が試験に向けて勉強しようとするとき,
➀その勉強が試験での成果に繋がる可能性の高さ
➁試験でよい結果を残すことで,どの程度の物質的報酬・あるいは外部からの評価による精神的充足感を得られるか
➂その物質的報酬・精神的充足感が自らにとってどの程度魅力的か
によって,勉強を続ける度合いが変わってくる。という考え方が「外発的動機付け」の考え方である。
(生物学的なアプローチによってある程度は自然科学的に説明のつきそうなテーマではありますね,知らんけど)
3.会計学編
財務諸表
▼定義
1.貸借対照表,2.損益計算書及び3.キャッシュフロー計算書(他には営業報告書,利益処分計算書,付属明細書)から成る書類群。
投資家が投資に関する意思決定を行うに当たって利用する,銀行が金銭の貸し付けを企業に対して行う際に参考にする,といった使用目的が存在する。
▼使用例
「経済学部生なら,財務諸表くらい読めて然るべき」
▼補足
ぼくは読めません、ごめんなさい……
ちなみに1~3まで,とくに1の貸借対照表と2の損益計算書の内容は軽く押さえておくと何かと役立つかもしれない(が,面倒なのでここでは説明を省略する)。
4.補論的な何か
ここからは私自身のエアプ言説を垂れ流しています。興味のない方は飛ばしちゃいましょう。
5.謝辞
最後になりましたが,ここでまず申し上げたいことは「筆者もエアプ」だということです。このことを踏まえた上で以上の記事を温かい目で見ていただければ,こちらとしてはうれしい限りです。
繰り返しになりますが,この記事を書くに当たってご協力いただいた経済学部同期の「ば」様に感謝の意を表します。
6.入門書リスト
事前知識がなくても読める書籍のリストです。
6-1. 経営学関連
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